
公式サイト:わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏
公開日:2023/07/15
鑑賞しましたので個人レビューになります
7点
楽しめます
〇公開から2日目の休日夕方の回
〇男女比 6:4 男性が多い
〇席の埋まり 6割程
〇年代 40代~の年代が多いです
あらすじ
この映画では美術品の歴史などでは無く、職員の日々の業務、美術館の運営についての映画です
国立西洋美術館は2020/10/19~2022/4/8までの約1年半、工事の為休館していました
この工事の理由や工事前、工事中、工事終盤の様子や常設展の展示品のリニューアル
貯蔵品の管理、補修、研究、新しく作品を購入する会議の様子が映し出されていいます
色々なシーンの間に館長を含めた各職員や元新聞社勤務の方、海外スタッフの方のインタビューを折りまぜながら物語が進んで行きます

今作のオススメポイント3選
工事の理由
休館中をしてまで行った工事の内容ですが前庭のリニューアル工事になります
建物の構造としてこの前庭の下には特別展のスペースが地下にあります
実は建設当時は地下が無く途中から作ったスペース
施工後から25年以上経っている為、防水工事を更新するとの事で今回の工事が決まりました
工事をすると共にあがった話があります
それは、世界遺産登録の際にル・コルビュジエ(設計者)の意図が失われていると指摘をうけいたので今回の工事で前庭を可能な限り元に戻す事にしたそうです
妥協しない職員
当たり前かも知れませんが、仕事に真剣に取り組んでいる様子は素直にプロの仕事を見れました気がします
- 作品のキズ、劣化のチェック…ライトを持って色んな角度から何度もチェックしてました
- 展示方法…展示物の距離を3の倍数にする、床下から〇〇mm、mm単位の調整
- 展示物の選定…会議をしてお互いに意見を求めたり
- 購入品の選定…年2回外部の先生(映画内では7~8人)を呼んで国立西洋美術館に合うものを決める
- 全体会議…各部署の進捗や今後の予定などの報告、意見を貰う場
美術館スタッフではありませんが、運送専門の方々(クロネコヤマトなど)の梱包技術も凄かったです
特に彫刻類はその場で木を切って形を合わせピッタリに梱包するのはプロでした

美術館の運営
美術館は国営なので税金です
作中でも年々、運営費が減っていると言われていました
その中でも驚いたのは特別展のを開催するときのスポンサー関係です
関係者も言っていましたが金銭面的に美術館だけで特別展を開催する事はできないそうです
そこで、新聞社やTV会社がスポンサーになり開催するそうです(道理で広告をよくみるわけです)
実はこのシステムは日本固有のものらしく美術館ができた戦後から変わらず続いています
その為、美術館に入る売り上げは余り無いそうです
他にも、新しい美術品の購入にも外部の先生を招き意見を貰い購入しているのも何でも買うわけでは無く美術館に合ったものを買うのは驚きでした
*購入した作品は国立西洋美術館のホームページから値段まで見られます
公式サイト:国立西洋美術館
まとめ
私はコロナ前は美術館には年に3~4回行く程度の人間です
予約システムが導入されて億劫で殆ど行けていません
映画としては美術品がメインではなく、職員がメインになり普段は何をしているのか普段は見えない仕事の風景が観れてとてもよかったです
美術館の仕事が気になるって方にはとてもオススメできる作品だと感じました
作中では詳しく色々な話や未来の美術館のあり方など沢山話しています
上映している映画館は数少ないですが公式サイトをみてお近くのを探してみて下さい
おまけ
今回、【山名善之さん(東京理科大学教授)】トークショウに参加できたのでその際のお話を一部抜粋でどうぞ
*山名善之さんは国立西洋美術館の世界遺産登録にとても尽力したかたです
- 建設当時の正門は上野公園の噴水広場に面した西側
- リニューアルした現在の前庭の床の石で色が違いう所がありますが、それは向かいにある【東京文化会館の舞台の真ん中】のと同じ位置になる様になってます
- 世界遺産になるには文化財登録が必要
- 文化財登録に建設50年必要たが別の方法で登録した(当時は50年経っていない)
- 2023/07/17で世界遺産登録7周年経過した
- *世界遺産登録は2016/07/17
- 世界遺産登録を受けた前日イスタンブールホテル付近で銃撃戦があった
30分と短い時間でしたが為になる話を沢山して頂きました
ただ、話が弾んでしまいトークショウ資料全4Pの1Pあたりでお時間となってしまい終了したのが残念でした
有名な先生がたのお話は機会があればまた、聞きたいと思いますね
以上、美術館好きにはかなりオススメできる作品ですのでぜひ、劇場へ!